【ぷらっとコラム005】子どものレジリエンスの育み方

子どものレジリエンスの育み方
逆境を乗り越える力を家庭でどう支えるか
なぜ今「レジリエンス」が大切なのか
現代の子どもたちは、多様な環境の中で育っています。学校での人間関係、勉強のプレッシャー、家庭の事情、さらには社会全体が抱える不安定さ――。
どれも子どもにとってストレスや困難を感じやすい要因です。
こうした中で注目されているのが「レジリエンス(resilience)」という概念です。レジリエンスとは、困難や逆境を経験しても、そこから立ち直る力のこと。
折れない心、回復力とも訳されます。
「強くなる」というより、「しなやかに戻れる力」を育むことが、これからの子どもたちには欠かせません。

レジリエンスとは何か
心理学では、レジリエンスは「ストレスや逆境から回復する能力」と定義されます。特徴的なのは、生まれつきの資質だけでなく、育ちや経験、環境によって伸ばせる力だという点です。
例えば、以下のような子どもはレジリエンスが高いと言えます。
- 失敗しても「次はこうしよう」と切り替えられる
- 困ったときに人に助けを求められる
- 自分の気持ちを言葉で表現できる
- 楽しいことや夢中になれることを持っている
これらは特別な才能ではなく、日々の関わりや経験を通じて育まれるスキルです。
子どものレジリエンスを育む5つのポイント
1.安心できる「基盤」をつくる
レジリエンスは、安心できる土台があるからこそ発揮されます。家庭や学校で「自分は大事にされている」という感覚を持てることが第一歩です。
- 親が子どもの話を最後まで聞く
- 小さな努力や工夫を認める
- 「あなたは大切な存在だよ」と伝える
このような関わりが、困難に直面したときの心の支えになります。
2.失敗を「学び」に変える
失敗を避けようとする子どもは多いですが、レジリエンスを育むには「失敗しても大丈夫」という経験が欠かせません。
- 「今回は失敗しちゃったけど。次の時は、どうしたらいいかな?」と問いかける
- 完璧を求めすぎず、チャレンジを評価する
- 親自身も失敗体験を話し、「やり直せる姿」を見せる
失敗が「終わり」ではなく「次への材料」だと理解できると、心は折れにくくなります。
3.感情の扱い方を学ぶ
ストレスや不安をため込まず、感情を表現できることはレジリエンスの重要な要素です。
- 「悲しいんだね」「怒っているんだね」と言葉にして代弁してあげる
- 絵や文章、体を動かすことなどで気持ちを表現させる
- 呼吸法やリラックス方法を一緒に練習する
感情を抑え込むのではなく「気持ちを持っていい」と受け入れられることが、子どもの自己肯定感を高めます。
4.支援を求める力を育てる
一人で抱え込まず、人に頼れることも大切なレジリエンスです。
- 「困ったときは誰に相談できる?」と考えさせる
- 親や先生だけでなく、友達や地域の人とのつながりも意識する
- 大人が「助けを求める姿」を見せ、モデルになる
「一人で頑張らなければならない」という思い込みをほぐすことが、立ち直りの力を支えます。
5.強みと楽しみを育てる
レジリエンスは「自分にはできることがある」という実感からも育ちます。
- 子どもの得意分野を見つけ、伸ばす
- 楽しめる活動(スポーツ・音楽・趣味)を持たせる
- 「あなたのこんなところが素敵だね」と強みをフィードバックする
強みや楽しみは、逆境に直面したときの支えとなり、「ここに戻れば安心できる」という回復の拠点になります。

レジリエンスを弱める関わりとは?
逆に、以下のような関わりはレジリエンスを損なう可能性があります。
- 失敗を過度に叱責する
- 子どもの感情を「そんなこと気にするな」と否定する
- 親自身が常に不安や怒りを子どもにぶつける
- 過保護に育て、困難に直面する経験を奪う
もちろん完璧な親はいません。しかし、「子どもが困難を経験し、そこから立ち直る力を支えてあげる」ことを意識するだけでも、関わりは変わります。
研究から見えるレジリエンスの要素
心理学の研究では、レジリエンスを高める要素は大きく3つに分類されています。
- 個人の要因 … 自己肯定感、楽観性、問題解決能力
- 家庭の要因 … 安定した愛着関係、親の支え、安心できる居場所
- 社会的要因 … 学校のサポート、友人関係、地域のつながり
つまり、子どものレジリエンスは「個人の努力」だけでなく、周囲の環境との相互作用によって培われていきます
大人自身のレジリエンスが子どもに影響する
子どものレジリエンスを支えるうえで忘れてはならないのが、大人自身のレジリエンスです。親や先生がストレスに押し潰されてしまえば、子どもも安心して困難に向き合えません。
- 親が自分の感情を整える
- 困ったときに相談する大人のネットワークを持つ
- 「大人も悩むけれど、立ち直れる」という姿を見せる
まとめ:しなやかに折れない心を育む
子どものレジリエンスは、特別な才能ではなく、日々の関わりの中で少しずつ育まれるものです。
- 安心できる基盤
- 失敗から学ぶ姿勢
- 感情を扱う力
- 支援を求める力
- 強みや楽しみ
これらを意識的にサポートすることで、子どもは困難を経験しても立ち直れる力を持つようになります。
社会が不確実さを増す今だからこそ、折れない強さよりも「しなやかに立ち直る力」を育むことが、子どもの未来を支える大切な鍵なのです。
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